Webコンサルタントの大前創希が緩やかに進行するブログβ版

企業内で新システムを稼働させるという偉業

日報本格稼働まで残すところ1週間切り。

見えてきた課題は、やはり毎日書く事を忘れないようにする、という文化の部分が大きい。この数週間社内に対する今後のスタンスとして、懸命に定着をお願いしたり鼓舞したりしているけど、、やっぱりどうしても忘れてしまう人が出てくる。

人間だもの仕様が無い。

「何故出来ないんだ?どうしてやらないんだ!!」って問い詰めたり怒鳴ったりしても結局やらない事はやらない。私がそういう性格だから、よく知ってる。しかし文化を取り入れようと決定したのは自分だから、定着の様相を見せるまで飽くなきチャレンジをしていく必要性がる事も事実!!

なもんで、使おうと思っている日報SNSの開発会社に2件ほど機能強化の要望を出してみた。人が変わらないならシステムからサポートできる事をやってみるのは、新システムを企業で稼働させる際の常套手段。

「何故使わないのか?」

「便利になるのに不思議だ・・・」

「業務命令にしないと入力しない」

色々なシステム導入にあたって、こういう声を沢山聞いてきた。しかしこれは当たり前の事だという認識が経営者や管理監督者に欠如しているだけの、現場を知らない発言に他ならない。

「仕事なんだからやれよ!!」

こういって人を動かすとき、上役からみた現場能力は期待値より大きく下回ることが多い。人は機械じゃないんだから、動くためには動くなりの道理ってモノが欲しくなる。そういう生き物なのだ。どんなに能力の高い人であっても、歯車的な動かされ方をしている限りは期待値の100%を超える働きはしてくれない。

ましてや、普段の業務に対して新たな負荷のかかる "新システム" などは、現場からしてみたら敵以外の何者でもないのだ。上司がなんと言おうが、忘れてしまいたい "ク○・タスク" と思われても致し方ない。

もし、新たな仕組みを考察する際に現場から「現段階の問題点」をヒアリングせずに開発したのなら、それはプロジェクト自体に問題があったと言わざるを得ない。社内に必要なシステムであれば有るほど、現場もその重要性は理解しているし「もっとこうしたら!」「もっとこの部分を」という意見を持っている。そういった意見を一つ二つでも取り入れて、一緒に良くするという「改善プロジェクト」として成せば、成功のチャンスも自ずと上昇する。

抜本的に手数の減るシステムであれば、未だ成功のチャンスは大きい。現場に懇切丁寧に説明し「これだったら仕事が楽になる!」と理解して貰う事ができれば、自ずと使われていく。しかしそういったシステムであったとしても、最初はネガティブから必ずスタートする。何故か?人は "変化" と聞くと少なからず苦痛を思い浮かべるからなのだ。今に慣れている場合は特に、修練・習熟を捨てるという感覚が苦痛に繋がる印象を招く。この点を理解しない限り、新しいシステムの導入は必ず失敗すると断言できる。

失敗しない「新システムをスムースに稼働させる」という偉業は、どうすれば可能なのか?いくつかの必要条件があるので整理してみよう。

・旧システムの課題をヒアリングし、新システムによる解決ポイントを明確にする

・新システムのメリットを明確にする(できればシンプルかつ明確に!)

・稼働時は最低限必要な機能に絞り、3〜4段階で全体が揃うようにプロジェクトを調整する

・第1段階の稼働で出た課題のうち重要度の高い内容を第2段階以降で解決する

・新システム初期稼働時にプレマーケを行い、社内にエバンジェリストを養成する

・最低一人は心骨注いで普及に努め、上手く行っていない人員のサポートをする

特に必要な事は、最初からシステムの完全体を目指さない点にある。なぜなら、初期プランニングにおいて完全なシステムなど100%あり得ないからだ。諸般の事情、部署間の整合性、現状システムからの引継ぎ事項など、最善を尽くしても最適とはほど遠いスタートになる事が多い。そんなスタートにおいて、作りすぎやりすぎで「使うかも知れないから作った」機能が全く役に立たず、無駄になるという事件が必ず発生してしまうからだ。

業務上必要なことに絞り、まずはシステムのダイエットをしっかり考察し、見えてきた現場の必要性に耳を傾けること、そのうえで「現場の声を聞いて速やかに改善してくれた!」というプロジェクト一体感をもって進めていくことが重要なのだ。予算配分やスケジュールなど、当初からダンドリとして決めておかないと、第二段階に進めるに当たり時間を取りすぎて、現場が新システムに疲れ果てた後に改善に至る、、そういう方法では一生スムースな稼働にはたどり着かないのである。

そしてリーダ的存在の伝道師をひとり任命し「エバンジェリスト」を社内で養成、機能面の説明でなくメリット面の訴求に努めて行くことで、周囲に「やってみよう!」という気持ちを起こさせる文化を創っていくことが、気持ちよく新システムのメリットを享受できるプロセスとなる。

「そんなまどろっこしい・・」

「命令してやらせれば良いじゃないか!」

確かにまどろっこしいかも知れない。命令すれば部下は動くかも知れない。しかし動かす事が上長の命題でなく、成果を出すことが命題だとしたら60%〜85%の能力で仕事をする部下になるまえに、110%〜150%を発揮できるよう使命感をもって取り組めるコミュニケーションが必要なのではないか?

たかが日報SNSと思うかも知れないが、私は全ての新システムの導入に際して、上記の決意を持って挑みたいと考えている。

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