クライアントと信頼関係を築くWebコンサルタントの仕事術( 第2回)
この記事は、第1回からの続き記事となります。
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2)企業情報やIR情報やニュースソースを念入りにチェックする
特に上場している企業の場合、IR情報は必須公開事項となるので読み取れる情報は数多い。決算短信の財務諸表をしっかりと読み解ければ良いに超したことは無いが、数値に疎いと言うことであれば、後半の市況に対する当該企業全体の方針や、関連する部署の今後の動向、投資対象の確認などは把握しておくべきだ。さらに当該企業の内部情報だけでなく"会社四季報"といった外部発のサマリー情報や、ニュース検索サービスで直近の動向を調べておくことも重要な情報源となり得る。
今日のWebサイトに対する投資は決して少額ではない。当然経営状況が芳しくない企業は予算を縮小するための策を欲しているし、経営状況が良い企業であれば、より良くなるための策を欲している。提案内容を考察するに当たり、そういった状況を知って発言するかどうかは、クライアントとなりうる企業が、私たちWebサイトに携わる企業をどう見るのか?見て頂けるのか?という根本的なスタンスに関わる非常に重要な問題だ。
上場企業でなくても企業情報のチェックは重要だ。とかく起こりがちな過ちとして、Webサイトはその企業の持ち物であって、好きなように発言して良い、好きなように構築するモノだ、という誤解を抱いているケースがあるが、そういった節を発見したなら重要な情報となる。消費者目線で、その企業に対して見たい情報とそうでもない情報を切り分け、どちらの方により力が入っているかを観察すれば、その企業のいままでのスタンスが垣間見える。Webサイトは閲覧者に対して真っ当に機能して然るべきなので、自身が閲覧者としてそういった部分を違和感として感じ取っておくことが事前チェックでは必要だろう。
3)クライアントの業界を調べる
クライアント企業の取り巻く業界環境を知っておくことは、提案に深みを与える観点からも重要な鍵だ。最たる部分としては競合企業のチェックだ。
これからのミーティングにて起こりえる会話として、同業他社のWebサイトが話題に上がり「あの企業と同等かそれ以上を目指したい!」という具体的な目標になる事もある。そうでなかったとしても市場を取り巻く環境や、業界水準的に必要最低限、欲しい機能面を考察するだけでも有益な情報が数多く手に入る。
<競合を知り、業界を知り、また一つ深くお客様を知る>
業界情報を知るにあたって有効に活用出来る情報ソースは"業界地図"や"業界マップ"と呼ばれる、業界ごとに売上高や動向を纏めた書籍系の資料が挙げられる。先にIR情報をチェックするべきという点を挙げたが、上場企業でなければ、よほどの規模感でない限り企業動向を公開しているケースは少ない。そういった場合においても業界全体の動向や業界最大手の状況を知っておくことで、当該企業の置かれている状況を考察することができる。例えばある業界において「業界再編が加速度的に進行している」とあれば、競争激化の傾向を見て取れるので、プロジェクトの方向性としては「とにかくスピードが重要!」という話がでてくるのも容易に想像できる。どの企業が最大手で、業界全体では市場規模がどれくらいなのか、成長産業なのか、Webサイトが企業にとって重要な戦略の一部になりえるには、そういった情報を私たち作り手側がしっかりと把握しておく必要がある。
信頼関係を築くと言うことは、単に制作に対してのプロフェッショナリズムだけでは無く、理解し合える関係性が必要になる。理解し合うと言うためには、まず最初のステップとして要望を受け取る側が受け入れ体勢を整える事が肝心だ。その企業の担当者になったつもりで「自分ならどうするか?」と考えを巡らせ、体勢の基盤を準備しよう。
重要な部分なので長くなったが、実際にお会いする当日までに数時間使えば把握できる内容であり、かつ簡単にテキストに纏めておくだけでも十分機能する。筆者の経験では、そのスタンス自体が後のプロジェクト進行に大いに役に立ってくると確信している。
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第三回につづく...
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